秋田県のがん死亡率は高く、全国1位です。特に胃がんは1位、大腸がんは2位です。
皆さんは、この事実をどのように考え、どのように対処したらよいとお考えですか。
胃・大腸を専門に診療する私たちは、声を大にして訴えます。
胃・大腸がんは治すことができます。早ければ早いほど治ります。
皆さん、検診を受けて下さい。それも毎年、受けて下さい。
症状があれば、検診を受けないで下さい。検診を待たないで下さい。すぐに診察を受けて下さい。カメラは怖くありません。今のカメラは鼻から入るほど細くなり、ずっと楽に検査ができます。早い段階で診断されたがんは、カメラで切除し治癒できます。技術の進歩により、カメラ治療で治癒するがんが増えています。
また、外科手術が必要の場合でも、小さな切開でカメラを入れる腹腔鏡下手術で治せる方が増えています。手術後の痛みを抑える方法も進歩しています。ちゃんと治し、かつ、できるだけ生活を変えない、早くもとの生活に戻ること、を目標に手術は進歩しています。
ある程度進行しているがんに対して行う抗癌剤治療(化学療法)も、目覚ましく進歩しました。副作用が少なく、効果がある薬剤が普通に使えます。
進行したがんの場合、手術だけではなく、化学療法を組み合わせた治療も行います。
かつてはあきらめられていた進行再発がんの患者さんが積極的に治療されています。
治癒が困難となっても、今まで通りの生活を続けることができるような治療の工夫が行われています。痛み止めが進歩し、最後まで痛みで困らない様にできる技術の進歩もめざましいものです。治らないことが分かっても、できることするべきことは沢山あります。
「自分が、ご家族が、がんかもしれない」と思われた時の不安は、計り知れません。患者さんご家族の不安に応え、診療をすすめるためには、丁寧に説明を繰り返していく責任が私ども医療者にはあります。そして、よいコミュニケーションを相互に形成する事が重要です。
今回の市民公開講座が、皆様の胃・大腸がん診療に対するご理解と安心に一歩でも役立ち、早期受診・よいコミュニケーションづくりに少しでもお役に立てればと願っています。
日本消化器病学会東北支部第50回市民公開講座
当番世話人 市立横手病院外科 丹羽誠 |